夢の跡～はかなく消えて～

真紀の感情に
前夜の虚しさに
輪をかけて
追い討ちをかけた
一枚の紙切れ。

背中を押された気分もいっぺんに通りすぎ
怒りが込み上げてくる。

(勝手すぎるじゃないか)

毎晩の様に飲みに出られ 帰宅は、朝方近く。

好きだからこそ
何度も居場所を確認したくて連絡をいれ、
なのに、面倒臭そうに 曖昧な対応をされ

『起きて無くいい！
寝てくれていた方がいい』

と裕二に言われ……

傷つき、
連絡も止めまたずに寝て居れば

『寂しい、どうでもいいの？』

と裕二に言われ……


真紀の人生はなんなのか、
【働かないで
家で俺を待ってて、幸せになろう】とあの時言った裕二の言葉を一心に居た真紀の心の中では、

両膝を抱えた幼子がこうべを垂れて泣いて居る。
それこそが
本当の真紀の姿なのだ、 目には見えない
本人も見せ様とはしない部分。


結婚もしてないのに…… どれだげ
好き勝手だったのか、
……いや、人は、
結婚していないからこそ好き勝手だろうし。
結婚して居ても好き勝手なのだ。

同じ様に
真紀はどれだけ ハッキリ気持ちを言えなくいたのか……。
何故言わないのか……。
我慢の使い所は見極めは難しいし、相手にもよるのだろう……。

【まだ
真紀は
自由に成れるんだよ
真紀の
人生を謳歌していいんだよ……。】



小さな声で
真紀は、自分自身に話しかけて居た……。


あれからどれだけの時間が流れたのか、

走馬灯の様に
自分自身を振り返る
裕二の言葉一つに一喜一憂していた自分自身。

【変る もう前だけ見る】

夕焼けがピンク色に染まる風のつよい日だった。
真紀の心の中で
風が身体中を流れるのを感じて居た。