夢の跡~はかなく消えて~

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am7:30


ピピピ ピピ ピピピ ピピ
裕二の携帯のアラームが 部屋中に鳴り響く


ピピッ……

アラーム解除が無事に成功したのか
鳴りやんだ。


……7:35……
ピピピ ピピ ピピピ ピピ
スムーズ機能発令だ!


毛布にくるまりながらも 真紀は

ニャリと目と口元を細める。



直ぐに
アラームは停止された様子だが、
同時に
祐二の何語なのか分からない単語が響く

『う゛ぉゃばい!』

ベタベタと土踏まずの浅い祐二の足音が部屋中を歩き廻る。


ベランダでタバコを吸い
洗面所に向う途中にテーブルの上に置いた
パンと紙を取り上げる音が微かに聴こえる……

そして
いつものコースに習い
洗面所へと向う足音。


全ての
準備を終えて

寝室のドアが開けられた

『真紀ちゃん……
ぐわい悪いの?
寝てていいからね、
行ってきます。』


狸寝入りをかまして
祐二が出るのを待った。

祐二は
優しい所はちゃんと有るの……。
だから、
どんな決心も崩れてしまう。
だけど、それは 単に祐二の罪悪感からの一時の優しさで……

直ぐに忘れてしまうんだ
祐二の海馬はトコトン弱って居るのか
本当に
覚えが悪いし
直ぐに忘れる……


都合の悪い事は
忘れたと言うだけの
人間だ
ということだけは確なのだ。