「死ねよデブ!」
「うわ~!近寄んなデ~ブ!」
「イヤ~ン!デブがうつるぅ」
私が言われる言葉は全てこれ。
近寄れば、男女全般に嫌がられ、喋れば何でもデブデブ言われる。
 もう、死にたい・・・。でも、死ねない。
・・・あれ?何で死ねないんだろう。
私が死んだって、誰も悲しまないし、困らない。
私が死んだ事にも気づかないかも知れない。
 そうだ・・・。  死んじゃお。

私、柳田紗綾(14)はこの夏。決意した。
「ただいま」
返事はない。
お母さんは、私の心配なんかしないで、毎日
男と遊びに行ってる。もちろん、お父さん
とは1年生の時に、離婚している。
いつ、死のうかな?明日?明後日?
ううん。・・・違う。
今日死のう。私は決意した時に、
行動しないと諦めるタイプだから。
 ベランダに出てみた。
冷たい風が気持ち良い。
ここから飛び降りようかな?
私の家は、団地の七階だから、
飛び降りたら誰かが気づいてくれるはず。
「よい・・・しょっ・・」
ヒュュュュュウ・・・
へいに登ってみた。さっきより風が
冷たく感じる。
下をちらっと薄目で見てみた。
・・・想像してたより高い。
 ここから本当に飛び降りれるの
かな?
・・・頑張れ自分。
頑張れ・・・紗綾。
拳にぐっと力を入れた。さよなら・・・
みんな・・・!!!
ブォォォォォォ・・・
風の音がうるさい。・・・あ。
私・・今、飛んでる・・・!!!
 鳥のようには飛べないけれど、
だんだん・・・自由に近づいて
いる感じがした。
・・・これが、私が生まれ
変わる三秒前・・・。