やめてっ
あたしは思いっきり抵抗する。
何度も何度も振りほどこうとしてもぜんぜんびくともしない。
そのときあたしの目にさっき捕まっていた女の子が見えた。
女の子は自由になりながらもただただ怯えるだけで逃げようとはしていなかった。
たぶんあたしに悪いという罪悪感。
あまりの恐怖。
そんなこともあって動けないんだと思う。
そんな女の子にあたしは叫んだ。
「いまのうち早く逃げて!!」
すると女の子はハッと我に返ったようにあたしを見た。
そして走り去って行った。
何度もあたしのほうを振り返りながら。
「てめっ…」
―――……パァンッ!!
そんな鈍い音がかん高く鳴り響いた。
