そんな事件があってから、約1週間が経った。

あの後、ぼーっとしながら教室に戻ると

ハルちゃんがえらく心配していた。

「どうしたの?」

と聞かれて、苦笑いすると

詳しく教えろといわんばかりの、キラキラした目で

見つめられ・・・

結局すべて話すことに。

「頑張りなよ、優奈っ!!」

なんて、らしくない応援までされた。

恋愛とは、こんな気持ちなのだろうか・・・?

そんなことさえも、今のあたしにはわからなかった。

「・・な、優奈。」

「ん?何よ。」

「お前さぁ、デートとかしたことあんの?」

「っ!?」

今は劉との下校中。

大分慣れてきた道を、2人で歩いていた。

「な、ないけど・・・。」

「んーじゃあ、今週の休みにでもするか。」

「・・・うん。」

なんか、変な感じ。

慣れないっていうか、今まで感じたことのない

空気が流れている気がする。

「そーいやさぁ、来週体育祭だよなぁ。」

「だね。めんどくさぁ・・・。」

あたし、元陸上部っていうか

中学の時、陸上やってたから・・・

足は速いんだけどね。

めんどいんだよ、体育祭。

「お前、足速えーじゃん。」

「まーねぇ。」

そこは否定しない。

「てか、この学校おかしいよな。プログラムの最後、なんだと思う?」

「ほぇ?なんだっけ。」

「フォークダンス。」

「へぇ。」

何それ、わかんない。

とにかく踊ればいいの?

「俺はお前以外とは、踊らねーけど。」

ぼそっと呟いた1言に

思わずキュンとした自分がいることを。

このときのあたしは知らない。