「あのね、あたし・・・。」

“悪魔と、同居してるんだ。今。”

鏡ちゃんの耳元に、そっと小声で呟いた。

「えっ!?」

「あたしが夢で見た男って、悪魔だったの。」

「・・・そうだったんですか・・。」

「劉っていうんだけどね。昨日会ったんだ。」

「キスとか、したんですか?」

「なっ・・・///」

い、いきなり何聞いてくるんだ!?

なんでいきなり、そんな恋バナ!?

「あ、図星でした?すごく幸せそうな顔、してましたから。」

「・・・。でも、まだ付き合ってないの。」

「どうしてです?」

「相手は、人間じゃないもん。あたしは人間とじゃないと付き合えない。」

昔から、ずっと思ってた。

ふつーの人と、ふつーに恋に落ちて

ふつーの恋愛するんだって。

それが、あたしの夢だもん。

だから・・・。

悪魔とは付き合えない。

「それで納得してくれました?」

「全然。“俺を好きにならせる”とか言われちゃった。」

「ふふ、やっぱり。大丈夫、優奈ちゃんなら。」

「な、なにが?」

「本当は、気になってるんですよね。」

曇りのない、澄んだ笑顔だった。

あぁ、わかってるんだな。

鏡ちゃんは、自分が狐子と付き合ってるから。

どんな気分だったのか

ドコで迷うのか。

全部わかってるから

こんな澄んだ笑顔で笑うんだ。