「はぁ・・・。」

あたし、黒希優奈〔くろきゆな〕。

幼い頃に見た夢が、なぜか頭から離れず

彼氏いない暦15年。

もう、薄れている記憶なのに

少しだけ期待して、待ってる自分がいる。

「あんたねぇ・・。高校初日なのに、溜め息はないでしょ?」

「母さん。おはよ。」

「はいはい、おはよ。」

今日から高校生のあたしは

慣れない制服に手を通す。

「っと、時間ないや。これでいっか。」

髪を適当にとかして、部屋を出る。

「行ってくるね。」

「行ってらっしゃーい。」

バイバイと、手を振って見送る母さんを

少しだけ眺めてから

あたしは歩き出した。