その沈黙を破ったのは

意外にも祥君だった。

「お前、襲われてんだろ?」

「ま、まぁ・・。あたし1人でいると。」

劉がいても、最近は寄ってきたりするし。

「・・・コレ、やる。」

「えっ・・?」

祥君が差し出したのは

小刀だった。

・・・?

「こうゆうの、あんまり使いたくねーだろうけど。」

「・・・これ、小刀・・・だよね?」

「小柄〔こづか〕っていうんだ。なんかあったときに、役に立つと思うから。」

「・・・ありがと。」

ホントはこんなの、使いたくないよ。

でもコレって・・・

祥君なりの、優しさ・・だよね。



「何かあったら私に言ってくださいね?何も出来ないけど、話をきくことくらいは出来ますから。」

「ありがと、2人共。」

「俺は何にもしてねーぞ?」

「コレ、くれたでしょ?」

「んなの貰っても、嬉しかねーだろ。」

「んーん。祥君なりの優しさだって、わかってるから。」

だから

どうしても、使わないといけなくなったら

遠慮なく使わせてもらうね。



・・・こないことを願うんだけどなぁ・・。