ここは都市から随分離れた所にある小さな村。
「こんにちはー!」
「おお、歩!よく来たな!」
あたしの名前は月宮歩(ツキミヤ アユミ)。
今年で7歳になる。
毎年夏休みに村の実家へ里帰りする。
「かっくん達居る?」
かっくんこと田中海斗。村に住んでる同級生の男子。
「これ!歩!じいさんには挨拶しといてあたしにゃ挨拶せずに遊びに行くのかい?」
「あ、お祖母ちゃん居たの?てっきり畑に行ってるのかと…ご無沙汰です、お祖母ちゃん」
「うむ。分かればよい」
「ねえ、お祖父ちゃん。お年寄りって挨拶すると機嫌よくなるって本当だね」
「歩!ちょっと来なさい!」
「言って来まーす!」
お祖母ちゃんは昔から行儀には厳しい。
まあ、そのおかげで大人の人達へのあたしの印象はけっこういい。
