……そりゃそうだ。

自分の奥さんの妹なんだから。


(何聞いてるんだろ、あたし)


バカみたい。

思わずため息をつきながら、あたしは周りを見回した。


土曜の夕方の入江家は、ちょうどリビングで夫婦でくつろいでいたところみたいで。

空のマグカップや読みかけの雑誌が、リビングテーブルに散らばっていた。

きれいな片づいたリビング。


(――え゛)


心ににわかに暗雲が差す。

見ないようにしていた心の中の不安が、一気にぶわっと大きくなった。


……子どもの気配がない。どこにもない。


「あの……子どもは?」

「ああ」


照れたように言う。


「まだいいかなって、話してんだよね」