突然、足元の地面がなくなって、底なしの真っ暗な落とし穴に落ちていくような気がして。

平衡感覚をなくしたあたしは、ふらふらとソファにくずおれた。


(何てこと……)


うそ。うそうそうそ。

あたしのしたことは、間違ってたの?


たった一本の電話がもたらした、恐ろしい未来。

どうしよう。

あたしは、何てことを――


ヒザががくがく震えだして、全身から、どっといやな汗がふき出した。



(それを使うと、キミは後悔するから――)


真剣に訴えたあの忍者くんの整った顔がまぶたにちらつく。

悲しそうな黒い瞳。


(このことを言ってたの? ねぇ、忍者くん――)

(お願い、助けて――)