(………?)


背中に冷や水をかけられたように、全身から血がサァァァッと引いていく。

そういえば、玄関に見慣れた小さな靴はなかった。


子どもの気配がまるでない。

いつもリビングに散らかっているおもちゃが、ひとつもない。


(……え?)


うそ。

拓海は……どこ?


そう思った途端、あたしが変えたらしい過去から現在までの記憶が、じわりじわりとあたしに襲ってきた。


(あのとき入院したおかげで、美咲姉ちゃんは助かった。

しかし、子どもは出産時のトラブルで助からなかった)


あ。


ああああああ。


(うそ――)