イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*

じわじわ……

ゆっくりと変わっていく風景の中で、気がつくとあたしは自転車のハンドルを握ってた。


(あ、自転車はこっちに残ってたんだね)

ケータイは持っていけたのに。変なの。


太陽の位置は変わってないように思えた。

過去でどれだけ過ごそうと、戻るときは同じ時間に戻るのかな。


家はもうすぐそこ。

あたしは自転車にまたがった。


(――ん?)


心なしか、自転車のペダルが少し軽く思える。


ドキドキする心臓をなだめながら、あたしは恐る恐る家に近づいた。


何か変わってる?

あたしは本当に変えられたの?


……過去を。


そして、現在を。