イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*

でも、これくらい言わないと手遅れになっちゃう。


「わかった。できるだけ早く帰る」


お母さんの声はようやく真剣になってた。



お母さんの会社から家までは車で15分ちょっと。

あたしはマンガよろしく電柱のかげに身を隠してじっと待った。


(お願い、早く来て!)


気の遠くなるような時間が過ぎると。

見慣れない車がすぅっと家の前に止まった。

バタン、と勢いよくドアを閉めて飛び出してきたのは、ちょっと若いお母さん。

慌てたように、ばたばたと家のドアの中に消えた。


(あ、そっか。車買い換えたんだっけ)


5年ほどでも、いろいろ変わるもんなんだね。

なんて牧歌的なことを考える。


しん……と静まった家のドアをじっと見ていると。

ガチャっと音がして、それは唐突にガバっと開いた。

ママに背中を押されるようにして隙間からから出てきたのは――