びっくりすることに、ケータイはちゃんと通じた。

通信方式が変わってないのかな。


「あのねお母さん」

「うん、どうしたの」

「美咲お姉ちゃんがね、あたしに教えてくれたんだけど……」


精一杯子供っぽい声を出したつもりだったのに。


「なにあんた、そんな甘えた声で。気持ち悪い」

「……」


もう、人の気も知らないで!


「お腹に赤ちゃんがいるって。もうすぐ生まれるって」

「……は!?」


最近太ったとは思ってたらしいけど、美咲姉ちゃんがまさか妊娠してるとは思ってなかったらしい。


「本当に美咲がそう言ったの?」

「本当だってば!

お願い、今すぐ帰ってきて美咲お姉ちゃんを病院に連れて行って!

さっき、お腹が痛いってウンウンうなってたもん」

「え、もう陣痛始まってるの?」


最後のはウソ。