「じゃあまた、お盆にね」

「また遊ぼうね、ミソラ。ね、遊びに来て、ぼくんちに」

「わかった。行くよ」

「絶対来てよ! 絶対」


乗り込んだ車の窓を開けて。

きりりとした眉をハの字にして、名残惜しそうにあたしに手を振る拓海。


車がスタートしても、リヤウインドウからずっとあたしに必死で手を振ってた。


いつまでも。



(はぁ……)


車が見えなくなると。

あたしはため息をついて、とぼとぼと歩き出した。


「あれ、ミソラ、どこに行くの?」

「……ちょっと散歩してくる」


振り返らずにお母さんに返事をして、歩き続ける。

重い足をひきずるように、あてもなく。