「……もう別れたのに、あいつ、産むつもりか?」


だから産んでるんだってば。

あたしはため息をついた。


「それだけあなたのことが好きなんだって、わからない?

どれだけ美咲さんがあなたのこと好きなのか、考えたことある?

あなたの子なんだから!

必ず病院に連れていって、ちゃんと病院で健診を受けて……

リスクを回避してほしいの」

「……」


なんて偉そうなこと言ってるけど、やることやれ、なんてこの人にたきつけたの、あたしなんだよね……


(ごめんね……)


唇を噛んでうつむく亮介さんに、心の中で必死で謝るあたし。


「じゃないと、出産のときに美咲さんは死んじゃう危険があるの」

「……んなこと言われても」

「本人は知らないけど、体質的にリスクを抱えてるんだと思うの。

だからこそ、ちゃんと最初から病院にかかっておかないと」

「……」