適当なところで自転車を駐めて、川原の斜面の草むらに座った。

拓海もおっかなびっくり斜面を降りて、ちょこんとあたしのとなりに座る。


無邪気にあたしを見上げる、あたしを信じきった拓海の澄んだ目を見ながら。


(できるのかな、こんなこと)


心に立ちのぼる疑問。


(――いや、迷ってはいられない)


やってみないとわからない。


あたしは拓海に、持ってきた上着を着せると。

手首のリストバンドをびよーんと引っ張って、拓海の手首にかけた。

意外に伸縮性があるから、二人分の手首にも難なくかかる。


今の時間軸で拓海の存在を知らない入江圭輔。

拓海の存在を、過去において彼に突きつけることができたら。

何かを変えられるかもしれない。


二人いっぺんに行けるかどうかなんてわからない。

でも、試してみる価値はある。