first kiss


「俺にはお前が一番大事なんだよ。…分かるだろ?」


野ばらの手を握って落ち着いた声を取り戻して言うと、見開かれた目から涙がこぼれた。

野ばらは僕の胸に頭を寄せて泣き出す。


「あたしだって、悠成が一番大事だよ。

だから…死なないから、この子のこと殺すなんて言わないで」


「野ばら、」


「やっぱり産みたい。だって好きな人との間にできた子どもなんだよ。

絶対悠成のこと、独りにしない。お願い…」



僕は昔から、どうしても野ばらの涙と「お願い」に弱い。





こうして僕と野ばらの戦いの毎日が始まった。