「え、何で?何で急にそんなこと言うの?さっきのこと、怒ってるの?
赤ちゃん諦めるって何で、」
「落ち着いて聞いて。さっき先生の話聞き言った。
…お前、病気なんだって」
「え…」
「出産なんかしたら、体に負担がかかるだろ?
ちゃんと病気治してから元気な子どもを、」
「嫌!」
僕の胸を押しやって、野ばらは力一杯叫んだ。
他の患者の視線を感じたが、そんなのどうだっていい。
一気に頭に血が上った。
「嫌じゃねーよ!次があるだろ!?」
「次って何よ!この子は世界にたった1人しかいないのよ」
「お前だって世界にたった1人しかいないんだよ!!」
野ばらが虚をつかれたように目を見開いた。

