思えば、最大の前兆があったじゃないか。
キスを拒否する時点で僕たちは…─────
特に行く当てもなく公園のブランコに揺られていると
砂場で遊んでいる子供たちに笑われ余計に切なくなった。
でも帰らない。こうなったら意地だ。
そう思ったとき、ポケットからお気に入りの着メロが流れた。
野ばらだ。
無視するか。でも…
涙ぐんだ野ばらの顔を想像するだけで胸が締め付けられた。
ケータイの通話ボタンを押し、電話に応じる。
「何?」
「悠成…っ……い、痛い……」
苦しそうな野ばらの声にハッとして、アパートに全力疾走で帰ると…
野ばらが倒れていた。

