案外冷静なその声に、僕は一層腹立ちを覚えて野ばらを睨んだ。


「俺と付き合ったのってこいつと似てるから?」

俺と付き合いながら、こいつの姿重ねてたってこと?


重ねて問い詰めると野ばらは俯いてしまった。



「最初は…そうだった。
初めて悠成を見たとき、似すぎててびっくりした。

それから悠成ばかり目で追って、」


「何だよそれ。結局俺なんか好きじゃないってことかよ!」


「それは違う!あたしは悠成のことっ、…待って悠成っ」




珍しい野ばらの必死な声に耳を貸さず、アパートを飛び出した。