さぁ・・・・・・。 風の音と線香の香りが、かすかに耳を掠めた。 「花。今日もいい天気やでっ」 ウチは目の前の墓石に話しかけながら、花を供えた。 思い出したら、たくさんのことがあって。 花と遊んだこととか、笑ったこと。 思い出したら、キリなんかなかって。 ウチは、帰ろうと思って立ち上がった。 「章」 ふいに声がかかった。 「京華・・・」