「ふぅ」
やっぱ、家が駅まで近いとは言え、全力疾走で走るというのはなかなかに疲れるもんや。
右にも左にも、前にも後ろにも、人のいないこの空間。
…て。
人少なすぎやろ!!今この電車に乗ってんの、10人もおらんやん!!大丈夫なんか??この電車は。なんかそのうちなくなりそうなんやけど!!
と、まあ心配もしながら、うちは鞄の中からウォークマンを取りだし、お気に入りの音楽をかける。
音量は、回りの音がぎりぎり聞こえるくらい。まあ、うちは終点まで行くんやから、別にアナウンスなんか聞かんでもええんやけどな。
「次は~駅、~駅です」
また音を立てて、電車が止まる。お、この駅でいっぱい人乗ってくるんか。
まあいっぱい言うても、乗ってきたのは10人ほど。人の数は倍に増えたけど、やっぱ田舎なんは田舎。都会で、電車に20人なんて、考えられへんのやろなあ。
「発車します。ご注意ください」
またアナウンスが流れ、ドアが閉まる。
乗ってきた人たちはところどころに散らばって座っていく。私の隣の席はまだ空いてる。
