そのままで

最初から飲み込んでから言ってくれたらいいのに。と、苦笑いしていると、「明日デートだからさ。」と愛実は言った。





は？デート？





「………えーーーーー！？」

「はは、うるさいうるさい」





ニコニコと笑う愛実は幸せそうな顔をしていた。



「つ、つ、ついに、あの社会人と…！？」

「そう、ついにあの社会人と。」


どうだ、と言わんばかりの笑顔を見せてくる。


愛実は愛嬌もあってモテる方だった。
いろんな男の子と遊んだりもしてたけど、それ以上の行為は絶対しなかったし、何より２年ほど片思いをしてる相手がいた。




「そっかぁ…なんか泣きそう、よかったね！」

「ありがとう！ってわけで今日よろしく！」


パンっと背中を叩いてきた愛実の笑顔は、私にも伝染するものだった。





愛実が高校生になったばかりのとき、ペットのチワワのココちゃんの散歩をしてるときに出会った人らしいんだけど、なかなかいい人らしい。

あんまり詳しくは聞いてなかったけど、彼氏となったなら気になるな。



「だから由美も彼氏ゲットしちゃいなよね。」

「…できればね。」

苦笑しながら答えたけど、それしか言葉はでてこなかった。