「永添風音ちゃんだよね?」

「そう、ですけど」

「私、三年の伊東有梨(いとうゆり)。ちょっと話があるんだけど、大丈夫かな?」


 こういうのは前からあった。

 これからひどくなっていくのかも。


 イトウという名前には心当たりがあった。

 珍しい名字ではないけど、実際に話しているところを見たし、この人じゃないかと思う。


「いいですけど、ここじゃできませんよね? 開放的なところがいいですか? それとも、密室的な方が都合いいですか?」


 春平にはよく「わざわざ挑発すんなよ!」って言われる。

 でも、これが私。

 伊東先輩は凄く困ったような表情をした。