フェイス

「だから、解放してあげたかったんだよ」


 不穏な空気、落ち着かない。

 けど、ピースがはまっていくのを感じる。

 解放、その言葉には覚えがある。


「あの要望書……」


 まさかとは思った。

 でも、カチリとピースがあるべき場所に収まる音が聞こえた気がした。


「そう、僕だよ。僕のお陰で君は自由になれた」


 ニコリと彼が微笑んだ。

 ぬけぬけと、無知なままに笑う。