フェイス

「良かった?」


 不可解な言葉だった。

 眉間に皺が寄るのが自分でもわかる。

 嫌な感じで胃がむかむかする。


「だって、永添さん、いつも、とても辛そうな顔していたから」

「暗いのは元からよ」


 彼は平然としていた。

 こんなにも私を不快な気持ちにしておきながら。


「あいつを見ている時、いつも苦しそうだから……」


 そんなことないと言いたかった。

 けれど、何の苦痛も伴わなかったわけじゃない。

 少なくともそれを顔に出してはいないと思っていた。