「仮に、解放されたとして喜ぶのはあいつだ」

「まあ、常々嫌がっているしね」


 鋭いと思っているらしい推理を春平は続けた。

 間違いではないと思うけど。


 でも、時々、思うことがある。

 私達が本当にいなくなったら、あの坊ちゃんはどうするのだろうか。

 心配だっていう口実を付けて、離れられないのは私の方なのかもしれないけれど。


「羽石、お前も共犯だ。このことは誰にも言うなよ」

「共犯……」


 春平はいつになくシリアス。

 まりちゃんはぴくりと眉を動かした。

 でも、口が堅いとは言えない。

 『探偵ごっこをする』と周りに言って衣装を貸し付けられるぐらいには。