フェイス

「いや、あのさ、俺ってナチュラルに流されてない?」

「あ、ごめんね、清永君も全然好みじゃないの」


 智也先輩はあっさり振られてしまった。

 本当に本気だったみたいだけれど。


「何か俺って可愛そう……親友と可愛い後輩のために頑張ったのに」


 何かブツブツ言いだした。

 あの智也先輩が落ち込むなんて雨が降るかも。


「そう言えば、脱がなかったですね、先輩」

「いや、脱いだよ? 思いっきり脱ぎましたとも。風音ちゃんの知らないところで」


 不意に思い出して言えば、項垂れていた智也先輩が顔を上げた。