結局、私達は元通りにはならなかった。

 私は従者ではなくなった。


 だけど、ずっと側にいられる。

 もっと色々なことを知ることができる。


 新しい肩書は恋人。

 みんな祝福してくれた。

 御祖父様も時永の両親も私の両親も春平も智也先輩も伊東先輩もまりちゃんも古葉君も。

 遅すぎるとも言われたけど。


 時永は「これからは俺が守る」とか言ったけど、私も譲らなかった。

 だって、それは私の一生の忠誠。


 そして、未だに「時永」とか呼んじゃったりして、いつも怒られる。

 まだ恥ずかしくて名前を呼べないけど、でも、こっそり練習中。


 恋人の響きにはまだ慣れない。

 だって、心臓に悪すぎる。

 でも、勝手に死ぬほど我慢していたらしいあの男は今日も隣で色々言っている。

 けれど、それが今はどうしようもなく、幸せだと思う。