「ちゃんと聞けよ、好きすぎたんだよ」


 ちゃんと聞いている。

 でも、わけがわかんない。


「それが嫌だったんでしょ?」

「あのなぁ……」


 時永は頭を掻いた。


「気が付くとお前のことばっか考えてた。お前を壊しちまいそうで怖くて仕方がなかった。大切にしたいって思えば思うほど強くなって、どうしようもなくなる」


 信じられない事ばかり。

 もしかしたら、これは夢なのかもしれないって思うほど。

 でも、納得できないことがある。


「私はそんなに弱い女じゃない」

「加減がわかんねぇんだよ。お前はそんなに強い女じゃねぇから」


 弱くない。

 なのに、時永は弱いと言う。