「お前さ、時々敬語になるの何なんだよ?」

「嫌がらせ、ですかね?」


 時永と私の間に基本遠慮はない。

 でも、一応、年下だし、従者だから適度に敬っているわけで。


「ったく、可愛げのねぇ奴」


 時永はガシガシと乱暴に私の頭を撫でた。

 子供じゃないのに、何で。


「なら、離して下さい」


 いつになったら私は離してもらえるのか。


「断る」


 即答された。

 このままじゃ心臓が壊れそうなのに。


「俺は怖かったんだよ」


 小さな声、信じられない一言だった。