「風音ちゃん、頑張ってね!」

「はい?」


 いきなりの激励に私は戸惑った。

 この人のテンポはよくわからない。


「私、応援してるからね!」

「わ、私は」


 拳を握り締めての激励、何を頑張れと言うのか。


「斎藤さんなんてぶっ飛ばしちゃえ」


 そう言った伊東先輩は物凄く笑顔だった。

 清々しいほどに。

 やっぱり、伊東先輩も斎藤先輩に恨みがあるのか。


 いや、私だってぶっ飛ばせたら苦労はしない。

 でも、戦闘の基本は正当防衛。

 ましてや女子を本気でぶっ飛ばせるはずもない。