「んーと、ちょっと待ってな」



ごそごそって
焦げ茶のジャージのポケットに
手をつっこむ。


先生が取り出したのは。



「キャラメル?」


「あげる♪」



あたしの手に小さなキャラメルが
ころんって、ひとつ乗せられた。




「さっき、職員室行ったら
昨日買ったキャラメルあったから
持ってきただけやねんけど、」


疲れたときには
甘いもんやからな!

なーんて言いながら
へへって笑った。




「...っと、そういや学年主任に
呼ばれてるんやったわ。
職員室戻るから何かあったら呼びや〜」


じゃぁまた後でな、って
先生は廊下を歩き出した。


「あ、キャラメル...ありがと‼」


顔だけ振り向く。


「色々考えてくれたお礼♪
みんなには内緒な?」