月夜の翡翠と貴方



私はため息をつくと、「いくよ」と声を出す。


「ん」


…優しく笑う、貴方がいる。


もう、『そのとき』に怯えなくてもいい。

いつまでも、貴方の隣にいる事ができるのだ。


私は真下にいるルトに向かって、木から飛び降りた。

橙のドレスが舞う。


「んっ………………」

「…おっ……とぉ。…軽いなー」


気づけば、腕のなかにいる。

目があって、飛び降りた余韻で心臓を鳴らしていると、笑われた。

ルトは、そのまま私を抱き上げる。


「ジェイド、お姫様みたい」

「…全然違う」

「じゃあ俺は王子様?」

「もっと違う」

「…………」


ですよねー、と間延びした声が、頭上から聞こえる。