月夜の翡翠と貴方



やがて耐えかねたのか、マテンがミラゼを邸から追い出そうとし始めた。

数人の召使いの男が、ミラゼの腕を掴む。

しかし彼女は容易くそれを振り払うと、召使いたちの腕を掴んで、そのまま投げ倒しはじめた。


「…おー……さすが…」

ルトが感心したように声を出す。

美しく、軽やかに。

ミラゼは召使い全員を地面に倒すと、マテンを見据える。

恐怖したマテンは、その場から逃げ出そうと、邸へと逃げた。

しかし、ミラゼは追おうとせず、何故か笑みを浮かべるばかり。


しばらくして、観念したような顔をしたマテンが、あの召使いの男とともに、玄関に現れた。


「…あ…」

「あの人だよ、イビヤさん」


…彼には、正直礼を言いたい。

色々とあるが、私が邸から出ることができたのは、間違いなく彼のお陰だ。