月夜の翡翠と貴方



ルトは「そっか」と、呟くように返事をした。

そこで、玄関に召使いがマテンを連れて来たのが見えた。

マテンはなにやら、ミラゼに文句を言っている。

「…あれじゃない。私は今忙しいんだ、あとにしてくれ、みたいなこと言ってんじゃない」

ジトっとした薄笑いを浮かべ、ルトはそちらを見つめる。

「…かもね」

笑いそうになるのを堪えて、ジェイドは言葉を返した。


ミラゼはうんざりという顔で、マテンの文句を聞いていた。

やがて文句が終わると、ミラゼは鞄のなかから紙束を取り出した。


そして、マテンの目の前で、ミラゼがそれを読み上げていく。

内容はやはりわからないが、マテンの顔が次第に青ざめていくのがわかった。


「…悪事を暴いてるってかんじだな」

ニヤ、とルトが怪しい笑みをしている。

…なんだか、楽しそうだ。

私にはよくわからない、裏の世界の楽しみでもあるのだろうか。