月夜の翡翠と貴方



「意外。高いとこ苦手?」

「…少し。木の上とか登ったことないから」

なんだか悔しい。

不満気に、そっぽを向いた。

しかし、ルトが邸のほうを見て「あ」と声を上げる。

思わずそちらを見ると、ミラゼが正装姿で玄関の前に立っていた。


「…追加で、カナイリーを役人に差し出すのも依頼されてたらしいよ」

「…それを、今からするの?」

「みたいだね」


ミラゼが、扉をノックする。

するとしばらくして、慌てた様子の召使いの女が、バタバタと扉を開けた。


「…今、邸ん中は、お前探ししてるんだっけ」

ルトが、苦笑いを浮かべて呟く。

あの召使いも、捜索に駆り出されているのかもしれない。