…ああ。
そうか。
もう、この手を伸ばしても、いいのか。
私は両手を伸ばすと、ルトの首に腕を絡め、抱きついた。
「…こ、れでいい…?」
どきどきと、心臓が鳴る。
「…いいんじゃないの」
少し低くなった声で返事をしたルトの顔は、わずかに赤かった。
*
ミラゼとイビヤの依頼人は、カナイリー家を没落させようとしている貴族の人間、とルトは言った。
なんでもマテン・カナイリーは、過去に何度も裏で不正を働いているとかで、それを全て財で誤魔化してきたらしい。
カナイリー家に目をつけていたその貴族は、絶対に掴める尻尾はあるはずだ、と、ふたりに調査を依頼した、と。
「…んで、カナイリー家没落において、最後に必要だったのが、さっきミラゼが持ってた書類なんだと」
玄関がよく見える、木の上。



