月夜の翡翠と貴方



ルトは小さく「ん」と言うと、顔を傾ける。

私は、自然と目をつぶった。


…愛しい、愛しい、ご主人様は、貴方。


私の、ご主人様は…………



「ルトーっ!ジェイドちゃん奪還成功したー?私はなんとか持ち出せて…………」


ガサガサ、という音と共に。

ルトの動きが、止まった。

私も、目を開く。

あと少しというところで、唇が触れる距離。


「…………あらやだ」


案の定、さして悪びれる様子のないミラゼが、こちらを見ながら木々の間に立っていた。


「…………………なに」


とてつもなく低い声。

明らかに不機嫌という顔をして、ルトがミラゼを見る。


「そんな怖い顔しないでよー」


ごめんなさいねー?と言いながら、ミラゼがこちらへ来た。

そして私を見て、「久しぶり」と笑う。