月夜の翡翠と貴方



…もう、いいかな。

もう、私のなかで渦をまいた色んな感情は、ひとつのところで一緒になっていた。

…ぐちゃぐちゃになった心は、きっとルトが受け止めてくれる。

全部、全部の感情が、望んでいるのは…


「…嫌だよ」

呟くと、ルトの眉がみるみるうちに下がっていく。

…不謹慎だが、少し面白い。

なんだかんだで、ルトはあまり表情を大きく崩すことはないから。

私は、少し笑って「嫌だよ」と言った。


「ルトと離れて暮らすなんて、そんなの絶対嫌だよ」


ルトの目が、見開かれる。

…わかっているんでしょう?

今更、私はひとりで生きていけない。

…ルトがいてくれないと、生きていけない。

おかしくなった私の心を支配しているのは、貴方なのだから。