月夜の翡翠と貴方



…もう、もう。

嫌い。ルトが嫌い。

けれど、それだけじゃなくて。


ルトは、私の涙を指で掬う。

綺麗な、綺麗な深緑と目が合う。


「…ジェイドが望むなら、どっか遠くに連れてくよ。住むところも用意する」


…冗談ではない、瞳だった。

きっと、ルトなら出来るだろう。


けれど、けれど、私は…


ルトが、私を見て、優しく笑う。


「…これは、俺の個人的な望みだけど…」


ルトは、笑顔を見せてくれた。

マテンに見せていた笑みではない。

私が、大好きな、笑顔で。



「…これからも、俺の隣に、いて欲しい…………です」



言いながら、ルトの顔が赤くなっていく。

ルトは、「プロポーズみたい…」と顔を手で覆った。