月夜の翡翠と貴方



「…自分で、最低だと思うよ。…けど、ジェイドを好きだって想うのは、本当だから」


信じて、とルトが優しい声で言う。

…愛しい声で、言う。


私を、『好き』だと、言う。



「…ほんとは、カナイリーに渡すの嫌だったんだよ。渡した後、本気で後悔した」


…信じたくない。

信じたくない、のに…!


髪に、手の甲に、指に、キスが落とされる。


大事に、大事に、私に触れる。

涙が止まらない。

抑えられない。


「カナイリーが目の前でお前に触ってんの見て、腹が立った。俺のだ、って言いたかった」


…私だって嫌だった。

ルトの触れたあとが消されるようで、嫌だった。