月夜の翡翠と貴方


私は、じわじわと浮かんでくる涙を必死に堪えながら、口を開いた。


「……嫌い。大嫌い」


「……そっか。けど、俺は好き。ジェイドのこと」


目を見開くと同時に、強く抱きしめられる。

前に抱きしめられたときを思い出して、おかしくなりそうだった。

離して、と言えない。

悔しい、悔しい。


ルトは、耳元に口を近づける。

吐息が、かかる。

そして、囁いた。



「…好きだよ。離したくない」



涙が、ルトの袖を濡らす。

もう、本当に意味がわからない。

ルトの言葉で、また私のなかがぐちゃぐちゃになる。