月夜の翡翠と貴方



…わからない。

ルトは、何を考えている……?


「いい髪してんねぇ、おじょーちゃん」


突然後ろから聞こえた、男の声。

そこで、思考が止まった。

振り返ると、酒臭い大男がふたり、こちらを見ている。

私の顔を見て、一層感嘆の声を上げると同時に、彼らはいやらしく口の端を上げた。

無精髭に、小太りした体。

荒く息をあげ、物欲しそうな目を向けてくる中年の男たち。

……私の、嫌いな部類の人間だ。


「………なにか、御用ですか」


軽く睨むと、手前の男がおっかないおっかない、とふざけた声を出した。

「そんなに睨むんじゃあないよ。美人が台無しだぞ」

思わず、こちらの睨みも深くなる。

すると男は、目をギラギラと血走らせ、こちらに近づいてきた。