月夜の翡翠と貴方



この髪が放つ存在感と異様さいうのは、私が思うより大きなものであるらしい。

…どうでも、いい。

そう思うのがいちばん楽で、私に合っている。


実を言うと、私を買ったのがルトでよかった、と思っている私がいた。

戸惑うこともあるけれど、本当にこんな主人は初めてなのだ。


…それはそれに、しても。

ルトの目的が、なにも見えてこない。

何故ルトは、奴隷を必要としていたのか。

今日の朝、エルガの店の裏で、私が駄目なら他を当たらなければならない、と彼は言っていた。

どうにかして、美しい女を奴隷から探し出さなくてはならない、そんな理由があったのだろうか。