月夜の翡翠と貴方



…急に、ひとりになってしまった。


目の前にある、まだちらほらと残飯のある皿に目を向けるが、生憎私はもう食べられない。

ふぅ、と息をつく。

あっという間、だった。

ルトに素顔を見られ、買われ。

エルガの店を出て、浴場へ行って、服や色んなものを買ってもらって。

そして今、夜である。

本当に、早かった。


私は、周りを見渡した。

様々な容姿の、知らない人々が、いろんな表情で食事をしている。