月夜の翡翠と貴方



…冗談じゃない。

本当に本当に、冗談じゃない。


混乱していると、悲しいほどあっという間に客室に着いてしまった。

「開けるぞ」

男が、小さく呟く。


…そんな。

こんな、色んな感情が入り混じった状態で、ルトに会うなんて。

男が、扉をノックする。

「マテン様、連れてまいりました」

手枷が外れた両手を見つめている間に、扉は開いた。


目の前に広がるのは、豪華な部屋と…

…そして。


「ああ、来たか」


ソファーに座るマテン。

ー…その向かいに座って、目を見開いて私を見つめる、ルトの、姿。

私は震えそうになる足を進めて、マテンの横に立った。