月夜の翡翠と貴方



益々わからなくなった。

手枷を外してもらうと、男は「私はあちらを向いていますので」と言って、言葉通り私に背を向けた。

…おかしな召使いの男と、着る理由がさっぱりわからない服と。

私は酷く混乱しながら、ブラウスとスカートを身につけた。

数年ぶりに着るものだからか、変な心地がしてならない。

スカートは、白い膝丈のものだった。

上等な布を使っている、新品。


「…着ました」

控えめにそう言うと、男はこちらを向く。

そして、私の姿を見て、またも微笑んで。

「よくお似合いです。さぁ、行きましょうか」

…私がまたも絶句したことは、言うまでもない。

この男は、価値観というものが、一般とかけ離れているのだろうか。

こんな召使いが、あんな性格の悪い主人に仕えているとは、不思議なものだ。

扉を開けると、だいぶ厳しい顔をした、もうひとりの召使いが私を睨んだ。